腸内フローラで重要なバクテロイデス門について
こんにちは。今回は、腸内フローラについて解説したいと思います。 また、その中でもとくに健康に重要だと思われるバクテロイデス門についても解説します。
腸内フローラについて
腸内フローラとは、大腸に張り付いた腸内細菌のかたまりを意味します。腸内細菌は、菌類ごとにかたまっていることが多く、お花畑に見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになった。また、人の腸内に存在している菌の分類として、Firmicutes, Bacteroidetes, Actinobacteria,Proteobacteriaの4つに分類されます。
そして、研究では腸内フローラが整っている人は腸が若く、生物学的年齢も若いことが分かっています。
とくに研究では以下のことが分かっています。
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腸管の慢性炎症を起こしている患者は、そうでない人に比べて、腸内細菌の多様性が低下している。とくに、Firmicutes門や、Bacteroidetes門の腸内細菌が減少していることが分かった。
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正常マウスと肥満マウスの腸内細菌の構成について調べたところ、正常マウスではBacteroidetes門が多かったのに対して、肥満マウスではFirmicutes門が多くを占めていた。これは、腸内細菌の比率によってエネルギーの取り込み方が異なることを示している。
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高齢期になると、腸内細菌の多様性や安定性が失われやすいことが分かっている。また、Bacteroidetes門が減少することが分かっている。
上記のように、高齢になると、腸内細菌の多様性が失われるので、発酵食品等を取って腸内細菌の多様性を増やすことが老化につながると考えられます。また、上記の結果から慢性炎症、肥満、高齢者の人は共通してBacteroidetes(バクテロイデス)門の割合が減少していることが分かります。このことからも、Bacteroidetes門を増やすことが慢性炎症、肥満、老化を予防する可能性が考えられます。
バクテロイデス門が肥満に効果がある理由は?
実際に、バクテロイデス門は、善玉菌を好む日和見菌です。日和見菌とは腸内環境で善玉菌が優勢のときに善玉菌の味方となり、悪玉菌が優勢のときは悪玉菌の味方になる菌類です。そのように、2面性のある日和見菌ですが、日和見菌の中でもバクテロイデス門に属する菌は、善玉菌の見方になって腸内のバランスを整えてくれます。また、バクテロイデス門の細菌は、食べ物を分解して、短鎖脂肪酸を排出します。この短鎖脂肪酸は、血液を通じて全身に届くと、脂肪細胞の脂肪の取り込みを止めることができます。
バクテロイデス門は以下の効果でも知られています。(参考: 肥満や病気に深い関係のある「腸内フローラ」の秘密)
- バクテロイデス門を増やすことで、脂肪の取り込みを防ぐことができる
- バクテロイデス門の割合が多い人は、低い人と比べて、食事から取り込むエネルギー量が低い。そのため、瘦せやすいと言える。
Bacteroides(バクテロイデス)門の細菌を増やすには?
研究によるとBacteroides(バクテロイデス)門の細菌を増やすには以下の方法がおすすめです。
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高カロリーの食べ物を摂取しない。2017年にライナーらが行った研究によると、12人の痩型の人に高カロリーの食事を摂取させたところ、Bacteroidetes門の減少が見られた。この研究では、肥満の人にも高カロリーの食事を摂取させたのですが、肥満の人はBacteroidetes門の減少は見られなかったとのこと。やせた人のエネルギー摂取量が150kcal増えたとのこと。これは、高カロリーの食事をすると、Bacteroidetes門の減少が起こり、短鎖脂肪酸が減少したために、同じ食事であっても、脂肪を多く体内に吸収していることが考えられます。ですので、高カロリー(実験では約3400kcal)の食事はとくにBacteroidetes門の減少させて、肥満のリスクを高めるために気をつけましょう。
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野菜や海藻などの食物繊維をしっかりと取る。食物繊維は、体内でバクテロイデスの餌になります。そのため、食物繊維をしっかりと取ることが体内でバクテロイデスを繁殖させ、割合を増やすことにつながります。
腸内フローラや腸内細菌については、専門的な知識が必要で理解するのが難しいですが、これからコツコツと学んでいきたいと思います。
みなさん、ぜひ健康に気をつけて長く行きましょう!では、また来週にお会いしましょう!